このサイトを開設して以来、全国の学習塾で働く方や、各地のユニオン(一般労働組合)の組合員・執行役員の方から、貴重なご意見や相談、激励などが届きました。問い合わせをいただいた方との交流も少しづつですが進んでいます。

ところで、eisuユニオンに関してよく聞かれるのが『eisu にどうして労働組合ができたのか?』 『経営者につぶされず、組織を維持できた理由は?』 『自分の会社(学習塾)に労働組合を作るにはどうすればよいか?』 『eisu 社内ではどんな活動をしているのか?』といったところですが、少し気になる意見もあります。それは『経営者と対立する労働組合があるということは、eisu はブラック企業ではないのか?』という意見です。

私たちがこのサイトを作った目的は、私たちの活動を通して、全国の学習塾で働く人の職場での労働環境の改善と、働く者としての権利や地位の向上を図るためであり、また学習塾で働く人の労働ネットワーク組織『学習塾労働者・全国ネットワーク』を広げていくためです。自分たちが働く職場をブラック企業だと宣伝するためではありません。もちろんeisu には昔から労働組合があったわけではなく、労働組合が結成されたいきさつもそれなりの理由があります。ただ一つ確実に言えることは、もし eisu に労働組合が存在しなかったならば、eisu はブラック企業の仲間入りをしていた可能性が高かったということです。

一般的に、「ブラック企業」の定義とは、① 勤務する労働者に極端な長時間労働やノルマを課す。② 会社の法令遵守(コンプライアンス)意識が低く、労働諸法規を無視または軽視する。③ 会社の人権に対する意識が低く、社内に労働者の権利を不当に抑圧するシステムを持つ。④ 賃金等の労働条件の切下げや残業代の未払い・不当解雇・パワハラ・過労による精神疾患などが社内で日常的に起こっている。といったことがあげられますが、重要なことは会社を「ブラック企業」にするか「ホワイト企業」にするかはすべて経営者の考え方と行動次第だということです。

一般論ですが、もし、ブラック企業の定義に当てはまるような会社に勤務していたとして、そこに労働組合がなければどうなるでしょうか?
ワンマン経営者の方針に誰も異議を唱えることはできなくなります。 長時間労働やサービス残業が当たり前になっていても、賃金や賞与の一方的な切下げが行われても、過労やストレスで体調を崩す人がたくさん出たとしても、労働者は黙って従うしかありません。勇気ある人が経営者に意見したとしても、それで経営者が心を入れ替えて職場環境や労働条件が急に良くなる保障はどこにもありません。むしろ経営者の怒りを買って辞めさせられる可能性の方が高いでしょう。こうして経営者のやりたい放題が続き、誰も止めることはできなくなります。

会社の中に労働組合が存在すれば、経営者に対する「抑止力」となり、経営者のやりたい放題に歯止めをかけることができます。また現場で働く人たちの職場環境や労働条件を、経営者と直接交渉することにより改善・向上させることができます。 もし経営者が一方的に労働条件の切下げなどをしてきた場合には、労働組合法に規定されるストライキを含む実力行使で対抗できます。労働組合の中には経営者側に立ち、経営者の方針に追従するだけの「御用組合」もありますが、労働者側に立つ労使対立型の労働組合が存在する会社では、経営者も労働者に対して無茶苦茶なことはできず、ブラック企業にはなりにくいという側面があります。

そういう意味では、eisu 社内にユニオンみえ(三重一般労働組合)の職場ユニットとしてeisuユニオンが存在し活動している限り、eisu は絶対にブラック企業にはならないと断言できます。職場に労使対立型の労働組合がある会社のほうが労働組合のない会社と比べて、働く者の権利が守られやすく、働きやすい環境にある職場であると言えます。

サイト内の「改善事例」のページを見てもらえばわかると思いますが、eisu の職場環境も社内に労働組合が結成された後では、労働時間や有給休暇の取得の面についてはかなり良い方に変わりました。 今後解決すべき問題もありますが、私たちはeisu が学習塾業界の中で一番働きやすい会社だと評価されるように、また学習塾業界における「ホワイト企業」のモデルとなれるように、今後もねばり強く活動していきます。

eisuユニオンの結成と活動

eisu 社内に労働組合ができたのは今からちょうど10年前の2007年になります。きっかけはこの年の5月から導入された年俸制による賃金の一方的な切り下げと一部の社員への退職強要が原因です。このとき退職強要を受けた社員がユニオンみえ(三重一般労働組合)に加入し、ユニオンみえの指導・協力のもとで、同じように会社の方針に疑問を持つ社員とともにeisu 社内に労働組合を立ち上げました。その後、組合に賛同し加入する社員も徐々に増えていきましたが、組合が活発に活動するようになったのは2012年以降のことです。

現在、eisuユニオンでは公然化している組合員は少数ですが、eisu 社内の幼小中部、高校部、間接部門の各部署には非公然組合員や組合に協力する社員がいます。こうした人たちを通じて職場の労働についての情報や相談、改善要求などを集めています。 えいすう社員専用の eisuユニオン社内ブログから、社員の方が組合にメールで直接相談や問い合わせができるシステムもあります。

こうして集約した職場環境や労働条件の改善要求を実現するために、また雇用条件引下げなど個々の社員に発生した労働問題を解決するために、会社(経営者)との団体交渉を年に数回以上行なっています。また職場の労働環境に関する細かい事項を討議するため、会社との労使協議を定期的に実施しています。

eisuユニオン社内ブログでは、組合から会社への要求事項、団体交渉や労使協議の結果、組合からの問題提起、役立つ労働法の知識や事例別の対応法などを記事としてえいすう社員の方に向けて、定期的に発信しています。

eisuの労働時間

学習塾は「長時間労働」の代名詞のように言われていますが、組合活動の結果、eisu では週休2日制の実現と合わせて労働時間についてもかなり改善が進みました。詳細は以下の通りです。

・終業時刻は夜22時ですが、その後に校舎での研修や会議などの業務は原則ありません。終業時刻以降は遅くとも22時30分までは退勤するように会社から指示されています。

・午前中から始まる会議や研修等について、社員の負担軽減のため回数がかなり減らされました。

・高校部の早朝門配は17年度から廃止になりました。したがって門配業務は全て勤務時間内に行われます。

・休日出勤した場合は、代休を確実に取るように指示されています。ただし人手が少ない小規模校舎では代休が取れない人もいるなど課題もあります。

改善すべき今後の課題

今後の課題としては、賃金面、特に賞与制度の改善を目指していきます。

2007年に年俸制度が導入されて以来、成果賞与制度は配属校舎や部署別の「売上」をベースとして決まります。しかし統一された支給基準がなく、支給額は一人ひとりで異なり、個人でかなりの差があります。昨年の団体交渉で会社が説明した回答によると、個人間で年間に支給される賞与金額の格差は10倍以上となっており、もはや「売上」だけでは説明がつかないことは明らかです。

過去の団体交渉では、会社に対し成果賞与の具体的な支給基準、計算方式、部署別平均支給額、部署別平均売上高などの開示を要求してきましたが、現在のところ全く開示されておりません。これでは賞与の支給額を恣意的に決めることも容易にできます。この不公平かつ曖昧な成果賞与制度を廃止し、2007年度以前のように月額基本給をベースに年間賞与額を決定するよう会社に要求していきます。