大手学習塾での労災・過労死問題

 首都圏および全国の学習塾で働く塾人の皆さんへ。

  朝日新聞などによると11月27日、神奈川県で教室を展開する学習塾『ステップ』で48日間の連続勤務により精神疾患を発症した元社員の方が小田原労働基準監督署から労災認定されたというニュースが報道されました。

 12月7日には首都圏で教室を展開する学習塾『栄光ゼミナール』で勤務中に亡くなられた社員の方の過労死が、渋谷労働基準監督署から認められたというニュースが報道されてました。

 12月15日には神奈川県の学習塾で80日間の連続勤務により精神疾患を発症した元社員の方が労災認定されたというインタビュー記事が「弁護士ドットコムニュース」に出ていました。

 学習塾の職場で長時間労働を原因とする精神疾患や過労死が起こったことは、同じ学習塾業界で働く塾人として非常に残念に思います。学習塾における長時間労働やサービス残業を原因とする労働問題はずっと前から学習塾の現場で繰り返し起こってきた問題です。学習塾における働き方のキーワードとして「長時間労働」「サービス残業」はもはや当然のことになっているようにも思います。

 同時に学習塾の職場で重大な労働問題が起こっても、より働きやすい職場環境への改善整備に真剣に取り組もうとしない経営者や業界団体の姿勢にも怒りを感じます。この先いつまで同じ過ちを繰り返すつもりなのでしょうか?

 学習塾業界も経営者自身が意識を改め、学習塾の職場で何が起こっているのかを直視し、現場で働く人を第一に考え、労使が対等な立場で『学習塾の働き方改革』を進めていくべきだと思います。経営者も現場で働く私たち塾人も、従来の成功体験や業界独特の労働観を一度すべてリセットし、長時間労働による精神疾患や過労死が発生しないような働きやすい職場環境を作り上げていくことが急務です。

 そうしないと学習塾業界はブラック業界だから避けるべきだという認識がますます広がり、学習塾業界を目指す優秀な人材がどんどん減っていくと思います。皮肉な言い方ですが、このままだと近い将来『学習塾業界を目指す人は、長時間労働により精神疾患を発症したり、場合によっては過労死するリスクを覚悟して入社して下さい』というアナウンスが会社説明会で必要になってくるかもしれません。

 現場で働く人を大切にしない過酷な労働環境を変えていかないと、若い優秀な人材が学習塾に入社しなくなるだけでなく、社員の大量離職が進み、人手不足により現場が疲弊し、結果として企業の事業継続が困難になってくることもあるかもしれません。

 私たちはユニオンみえ(三重一般労働組合)に加入し、勤務する鈴鹿英数学院の職場内に労働組合eisuユニオンを結成しました。そして職場で起こる労働問題の解決や労働環境の改善を求めて、ユニオンみえと共に会社との団体交渉や会社への抗議行動・街宣活動を行ない、自分たちの職場の改善を自分たちの手で進めてきました。

 私たちの職場では労働組合がしっかりと機能しており、経営者による一方的な労働条件の不利益変更や、労働基準法等のコンプライアンスを無視した違法な労働の強要、経営者からの弾圧等に対し断固として対抗する力を持っています。

『ステップ』や『栄光ゼミナール』社内にも労使対抗型の労働組合が存在していれば、今回のような出来事は起こらなかったと思います。

私たちは、学習塾にこそ労働組合が必要だと考えます。

 私たちは鈴鹿英数学院で活動する労使対抗型の労働組合として、一昨年よりこのブログで学習塾の現場で起こっている長時間労働やサービス残業を含むさまざまな問題について指摘し、その背景や対処法などを全国の塾人に向けて発信してきました。

 もし皆さんの勤務する学習塾が、長時間労働による精神疾患や過労死がいつ発生してもおかしくないような職場環境にあるのなら、今すぐにでもユニオン(一般労組)に加入し、ユニオンと共に職場内に労働者のための組織である労働組合を結成して会社(経営者)に職場の労働環境改善を要求するべきです。

 学習塾の企業内にある労使対抗型の労働組合として10年以上活動してきた私たちには豊富な経験があります。会社との交渉の仕方や、会社からの不当な圧力をはね返す合法的な対抗手段、職場内での労組結成のノウハウ、労働基準監督署との交渉ノウハウも持っています。

 また共闘関係にある大手学習塾ワオ・コーポレーションの職場内にある労働組合ワオ・コーポレーション分会なにわユニオン所属)の仲間と協力して、このサイトを通して全国の学習塾で働く塾人からの相談や専門的アドバイスなども行なってきました。

 首都圏の学習塾で働く塾人の皆さん。そして全国の学習塾で働く塾人の皆さん。もし今の職場で長時間労働やサービス残業に苦しみ精神的にも追いつめられているなら、取り返しのつかない状況に陥る前に、ぜひ一度、職場の近くにあるユニオン(一般労組)か私たちに相談ください。必ず力になります。

 

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