全国の学習塾に勤務する塾人の皆さんへ。

 10月12日、大型で強い勢力を持った台風19号が上陸し関東地方や中部地方に大きな被害をもたらしました。三重県でも伊勢市の五十鈴川が氾濫し付近の住宅が浸水するなど大きな被害が出ました。

 昨日はJR、私鉄、バスなどの公共交通機関も午前中から計画運休や間引き運転が実施されました。デパート・スーパー・小売店なども多くは臨時休業し、大手の飲食チェーンやコンビニチェーンでも営業を見合わせるところが多かったようです。eisuも昨日は小中部・高校部ともに全校舎臨時休校になったようです。

 ところで塾人の皆さん、台風19号が襲来した昨日は会社から出勤命令が出て勤務校舎に出勤しましたか? それとも会社から校舎を休校にして自宅待機するよう指示が出ましたか? 

 なぜこんなことを聞くのかというと、昨年9月4日の台風21号の襲来時にeisuの一部の部署(社員の方ならどこの部署か知っていますよね)で、台風21号がまさに東海地区に最接近する午後2時に校舎への定時出勤が指示され、午後から交通機関が運休しているにも関わらず定時に校舎に出勤していない役職者に対し『職員は平常勤務です。生徒のように暴風警報だからお休みにはなりません!』という定時出勤できていないことを叱責するメールが配信されるという事案があったからです。

 当日(2018年9月4日)は、この部署以外の社員は午前中に生徒に休校連絡をした後、電車が運休する正午までには自宅に戻り待機するよう指示がありました。午後から自宅待機しながら今日は全校舎休校になったものだと思っていました。

 ところがこの日の夕方以降『暴風警報が出て交通機関も運休しているのに出勤を強要された』『定時出勤できていない管理職に叱責メールが来た』『会社はこんな日にも定時出勤を強要するのか』などの情報提供や相談が複数の社員から入り、驚きました。

 当労組はすぐに事実確認を行い、叱責メール文を入手してそのメールを配信した責任者(サブマネージャー)に回答要求書を送った。責任者から届いた回答文は内容のない無意味な文書(これも社内ブログにアップしてあります)だった。

 そこで上層部である運営部に対し労使協議(ユニオンみえ本部役員も参加したので事実上の団体交渉)を申し入れ、災害時(地震・台風など)の社員出勤マニュアルを早急に策定すること。社員の安全確保に十分配慮した内容を策定することを要求した。

 この部署では災害時における統一的な社員出勤マニュアルが存在していないことにも驚きました。そして何度かの労使協議を経て、今年4月に統一された『災害時における社員出勤規定』がeisuのすべての部署で策定されました。

 したがってeisuでは昨年のように暴風警報が出ているのにもかかわらず、社員に勤務校舎への定時出勤を強要するようなことは今後は絶対ないと思っています。

 今回の台風19号接近に伴い、当労組は10月10日に小中・高校運営部に対し、災害時における社員出勤規定を遵守した対応を取るように申入れしました。

 同時にこの規定を無視・逸脱する事例が確認された場合には、当労組は厳格に対処する旨を伝えました。この内容は同日 eisuユニオン公式Twitter で告知したので、ご存知の方も多いかもしれません。

 eisuでは昨年9月、このような事案があったので、他の学習塾に勤務する方はどうだったのかが気になります。

学習塾で災害時に定時出勤を強要するのは異常

 今回の台風19号襲来にあたり、実際には多くの会社が臨時休業し社員を自宅待機させたようです。たまたま台風襲来が土曜日だったこともあり、公休日の方も多かったのではないでしょうか。

 しかしSNSなどを見ると、会社から普通に定時出勤を命じられた人も、物流・運送業などでは多かったようです。一方、大手の学習塾でも土曜日はさすがに休校にしたところも多かったようですね。

 ところで、昨年9月の台風21号襲来時のニュース映像で、宅配ピザを運ぶバイク(ドミノピザらしいと指摘されました)がドライバーもろとも暴風で吹き飛ばされる映像を覚えている方も多いと思います。

 昭和の頃なら『この激しい風雨の中、自らの危険をかえりみずピザをお客様に届けようとする。この会社とその従業員は何て仕事熱心なんだ。素晴らしい!』と称賛されたかもしれません。でも令和の現代では、このような見方をする人はほぼいません。

 『暴風雨の中、従業員を危険にさらしてお客様にピザを届けさせる。とんでもないブラック企業だ ! 』『この会社ではどんなに危険な状況であっても業務を優先させる。従業員の命よりも企業利益を優先させるのか ! 』と大きく批判されることになります。

 もし学習塾で、台風などの災害時に社員が、暴風警報が発令され交通機関が止まっているにもかかわらず、それでも定時出勤を命じられるとしたら、皆さんはこれをどのように思われるでしょうか。

 業務上の必要があるのならまだしも、台風襲来時に塾に来る生徒などいないにも関わらず、このような指示が出されるのはなぜでしょうか。

 以前のブログでも書きましたが、学習塾業界には「生徒第一」という労働哲学があります。そして学習塾の幹部社員の中には「生徒の成績向上」「生徒との信頼構築」のためには、いかなる時でも校舎を規定通りに運営することが重要だと考える人がいます。

 このように考える人ほど、生徒のためであれば災害時でも校舎に出勤するのが当然だと考え、出勤できない人は「生徒と真剣に向き合っていない」「生徒への熱意がない」と決めつける傾向があります。

 こうした幹部社員の影響が強い職場ほど現場の状況をまったく考慮しない硬直した業務命令が出されやすい傾向があります。現場社員にとってはいい迷惑ですね。

  確かに生徒との信頼関係は大切かもしれませんが、暴風雨の中、外出を控えるように勧告が出され、交通機関が運休しているにもかかわらず社員を出勤させ、社員を校舎に待機させる必要性がどこにあるのでしょうか? 

 反対にこのような状況下で無謀にも営業を続けることは生徒への安全配慮や危険性を全く考慮していないことになり、冷静に考えると信頼は低下するのではと思います。

 それに交通機関が運休して物理的に通勤する手段がなく、外出すること自体が危険なのに、這ってでも通勤すれば「生徒への熱意が高い先生」「顧客から信頼される先生」になれるのでしょうか?

 これでは宅配ピザ屋の例と同じく、どんなに危険な状況であっても業務を優先させる。従業員の命よりも企業利益を優先させる会社だと批判されても仕方ないでしょう。

 それともこのような学習塾では台風襲来の当日、危険をおかしてでも社員を出勤させ、その日のうちに行なわねばならない重要な業務があるのでしょうか? 

 当日やるべき業務として考えられるのは、生徒への休校連絡と校舎の被害状況の確認くらいでしょう。しかし生徒への休校連絡は、台風が襲来する時刻を確認して前日に行えばいいことだし、校舎の被害確認も台風通過後にするのが普通でしょう。

 台風襲来当日に絶対やらなければいけない業務ではありません。そもそも台風当日に開校したとして、暴風雨の中、危険を冒して塾に通ってくる生徒などいないでしょう。

 昨年9月4日の事案に関し、昨年10月に行われた労使協議で運営部は台風の通過後、夕方頃から校舎に自習に来た生徒がおり、定時出勤の業務指示は正当だったと主張してきました.

  しかし当労組がその数は全校舎で30名程度だったと反論したうえで、それならば、なぜ台風が通過し、交通機関が正常化した後で出勤するよう指示しなかったのかと問うと黙ってしまいました。

 昨年9月4日の事案は、eisu社員の方からの情報提供や相談がなかったら、当労組はまったく知りませんでした。
 
 そうなれば今回の台風19号でも、昨年同様に暴風警報の中、交通機関も運休している状況での定時出勤命令、出勤できない人への叱責メールが配信されていたかもしれません。当労組に情報の提供や相談してくれた方に感謝します。
 
 全国の塾人の皆さんへ。昨日、暴風警報が発令され、交通機関も運休しているのに会社から出勤を強要された方がいれば、私たちまで連絡下さい。
 
 もし通勤途中でケガをした場合は通勤災害になるので、近くの労働基準監督署に労災申請しましょう。