eisuのパワハラ問題(後編)

 

eisu社員の皆さん。そして全国の学習塾で働く塾人の皆さんへ。

eisuの幹部マネージャーA氏による部下へのパワハラと不当人事考課の問題に関して、3月6日に労使協議(事実上の団体交渉)が行われました。当日はA氏も出席しました。

なおA氏は2月末の会議で、すでに全社員の前で自らの行為を謝罪しており、また本年度の人事考課の考課者から外れることも決まっています。これまでの経緯を知らない方は、2月23日の「eisuのパワハラ問題」もあわせてお読みください。

A氏への質問と回答

労使協議で当労組はA氏に対し以下の点を質しました。下段はA氏の回答要旨です。当日の発言記録からまとめてあります。

1.部下への人事考課の評価項目、評価基準を私的に改変した行為について。

昨年4月にマネージャー職を拝命したおり、前任者から部下の人事考課の方法について大まかには説明されていた。したがって、マネージャーの立場で人事考課の項目や基準などを大きく変えることはできないことは最初から知っており、また人事考課は本来会社全体で決めることで、自分一人では決められないという認識もあった。

しかし考課票の中に付加業務の項目があり、部下が上長に評価してほしいことを自由に記載できる項目がある。私に評価してほしいと思ったことをここに部下が自由に記入してほしいとの思いから、業務メールの中で「~は新人事考課の項目に入っています」という表現を使ってしまった。

しかし貴組合の指摘するように、ここは部下が記入する項目であり、私の業務メールの文面では、部下が評価してほしい項目を付加業務に記入してほしいという内容にはなっておらず、部下がこれを見てどう思うのかまでは考えが及ばなかった。

同時に業務メールで通達した新しい人事考課の項目や評価基準の詳細を部下に全く説明していなかったことも、部下に不安を与えてしまったこととして大いに反省している。

また私にはマネージャーとして校舎責任者への人事考課を行う権限があるが、すべてのスタッフへの考課を行う権限がないことも知っていた。しかし私が配信した業務メール文では私がすべてのスタッフへの考課を私の基準で行うとも取れる表現になっており、その点で多くの社員に誤解を与えてしまったことは大変申し訳なく思っている。

今になって考えると、貴組合の指摘する通り、人事考課の考課基準、考課項目に対する私の解釈や方法が間違っており、スタッフには大きな誤解や不安を与えてしまったことを反省している。

 2.職場内でパワハラ行為を伴うマネジメントを実行した意図について。

自分はマネージャー職を拝命する前には、私が責任者をしている校舎では生徒数や売上げをかなり伸ばしてきた。マネージャーになり、自分の従来の方法(成功事例)を全校舎で共有し、実践できれば、全体としての売上、生徒数を大きく伸ばせると思っていた。一つの中心軸を決めて、それを全体に波及させればうまくいくと考えていた。

ただし、これまでの方針を大きく転換することになり、私のやり方についていけずに反発する者や指示に従わない者もいた。

また校舎単位で考えるとeisuでは校舎責任者の裁量に任されている部分が大きく、校舎間でどうしても売上・生徒数にバラつきが生じる。私は個人の裁量の部分を減らし、全体として共有・共通化すれば、校舎間の格差が縮小できると考え、それを各校舎スタッフ全員に徹底させようとした。それが結果としてパワハラとも受け取れるような強引なマネジメントにつながってしまった。

貴組合は私のマネジメントは昨年7月頃に破綻していたと指摘するが、私自身はこの段階で自分のマネジメントが失敗していることに気付けなかった。私に反発したり、私を嫌っている部下がいることも認識していたが、成果を出すために強引に進んでしまった。

今になって考えると、貴組合の指摘通り、各校舎責任者ともっと密にコミュニケーションを取り、私の考えを部下に丁寧に説明し、できるだけコンセンサスを取って進めておけばよかったと反省している。

私の考えを校舎責任者に電話で説明することはしていたが、貴組合の指摘するように、部下と直接会ってしっかりと話し合うことをしていたら、今回のようなことは起こらなかったと思っている

 3.威圧的な業務メールをたびたび部下に配信した行為について。

私が部下に配信した業務メールは、貴組合が指摘する通り、その表現や書き方、言い方についてかなり問題があり、部下にパワハラととらえられ、誤解や反発、不快感を与えてしまったことは大いに反省している。

マネージャーとして、部下にこのような威圧的な言い方をすると、部下にしてみればマネージャーに逆らったり、嫌われたらこの職場ではやっていけないという意味にとらえられることを理解していなかった。

私はマネージャーの立場で、こういう言い方をすると部下にどのように伝わるのか、部下からどのように思われるのかが客観的に検証できていなかった。

自分の行為が部下からどのような角度で見られているのか、多くの部下を持つマネージャーとしてその部分に思い至らなかった。

.今後の責任の取り方についてどう考えるのか?

私のした行為が職場を混乱させ、多くの部下に迷惑をかけたことは大きい。したがって私は現在の役職・地位をこれからも続けていきたいと自分から言える立場にはない。

今後については、私の処遇も含め私自身が決められることではないので、会社の判断(決定)に従う。

当労組の見解と今後の対応

A氏の説明を聞く限りでは、A氏は生徒数・売上を拡大するため、自分の成功事例を全校舎で実践させるため、早急に結果を出すために、威圧的かつ強引なマネジメントを行なったと考えられる。自分の方針や考え方を部下に丁寧に説明しようともせず、部下とのコンセンサスを共有することもしていない。これでは部下が反発するのは当然である。

そしてA氏は部下の不満や反発を抑え、自分のやり方に従わせるために人事考課のシステムを濫用しようとしていたことは明白である。

ひとつ意外に思ったのは、A氏がマネージャーの立場で人事考課の項目や基準などを大きく変えることはできないことを最初から認識していたと当労組に説明していることである。

知らずにやっていたのならともかく、人事考課の内容を変えられないと知っていたうえで行なっていたのだとすると、A氏は故意に、明確な意図をもってこうした行為を部下に対して行なっていたことになる。これは明らかに上司の立場を利用した人事権の濫用であり、問題行為ではないのか?

A氏はマネージャーに抜擢される前、基幹校の教室責任者として実績を伸ばしてきた、しかし教室責任者として必要な資質や能力と、マネージャーとして多くの部下を率いるために必要な資質や能力は異なる。

プロ野球で選手としてすばらしい能力を発揮し実績を残した人が、プロ野球チームの監督になった途端、力を発揮できずに失敗する例も多い。それと同じことである。

労使協議の終わりに、ユニオンみえの執行委員長がA氏に「あなたは上ばかり見ていて下(部下)をまったく見ようとしていない。幹部にはいざというときに部下を守るという責任があるが、それをあなたはまったくわかっていない。そういう上司を部下は信頼しないし、部下は絶対についていかない」と言っていた。きわめて当然のことである。

今回のA氏による問題は、A氏自身の資質や能力を見抜けず、過去の実績だけで判断してマネージャーに抜擢したという人事の失敗でもある。したがって当労組は今後しばらくの間はA氏には直属の部下を持たせないようにすることが必要だと考える。

今回のA氏の事案は、単なるパワハラ行為だけにとどまらず、A氏による部下への人事権の濫用行為も含んでいる。職場の問題としてはかなり根深いものがある。

A氏がもし現時点でも自身のパワハラ行為を継続し、謝罪や反省もしていないのなら、当労組は会社にA氏の解任要求を出すこともできる。

しかしA氏は2月末の会議の場で全社員に謝罪しており、3月6日の労使協議の席上でも謝罪・反省の弁を述べている。今後の自分の処遇についても社の決定に従うと言っている。

また2月23日のブログに掲示した当労組の5つの要求は現在すべて履行されている。そうした意味ではA氏によるパワハラや不当人事考課の問題はほぼ解決したと言える

上記の状況から、ユニオンみえとも協議した結果、当労組はこの問題をこれ以上追及しないことにした。とはいえこの問題から完全に手を引くということではなく、今後しばらくの間、A氏への会社の処遇や、職場内での他の社員に対するA氏の態度の変化を「注視していく」というスタンスで臨む。

A氏の処遇について当労組から具体的な要求書を出すことはしないが、今後のA氏の人事や処遇について会社がどのような決定を出すのかは注視していく。

あえて言うならば、A氏への処遇は、A氏の行為によって被害を受けた多くの社員が納得できる形で行われることを望んでいる。

当労組から社への3つの要求

3月6日の労使協議で、当労組は職場内のハラスメント行為の防止のため、会社に対し3つの要求を申し入れた。これらについては今後社と継続協議していく。

1.就業規則を改定し、新たに職場内でのハラスメント行為(パワハラ・セクハラ)防止の規則を新しく設けること。同時に職場でのハラスメント行為についての罰則規定を設けること。

2.ハラスメント行為(パワハラ・セクハラ)への相談と解決窓口を社内に設置すること。この窓口は、社と労働組合eisuユニオンとの共同設置し、社と労働組合eisuユニオンとが共同して相談および問題の解決に当たること。

3.上級幹部社員の暴走を抑止するため、年1回部下(教室責任者等の中間管理職)からマネージャー以上の幹部への考課を実施すること。幹部の部下への評価と並行して、部下から幹部(上長)への評価も同時に行うシステムを人事考課に導入すること。

現在eisuの就業規則にはハラスメント行為に関する明確な規定がありません。当労組はこの機会にしっかりとした規定を作ったほうが今後のハラスメント行為の防止につながると考えます。

また今回のパワハラや不当人事考課の問題を社に相談した社員は誰もいません。もし相談した社員がいたとしても解決につながらなかったので、当労組に相談が来たと思います。したがって会社単独でハラスメント行為の相談窓口を設けたとしても利用する社員はいないと思います。

こうした窓口は公平性・中立性を確保するために外部の第3者が入る場合が多いのも事実です。当労組はユニオンみえに所属する職場分会ですが、ユニオンみえは外部労組であり、ハラスメントの専門スタッフもいます。外部の第3者機関としては最適だと思います。

部下から上司への考課は、当労組がeisu社内に結成された10年ほど前、社に要求したことがありました。この制度があれば今回のような幹部の独裁・暴走や部下へのハラスメント行為を抑止することも可能になります。

ところで労使協議の中で「ずいぶん前になるが、当時の統括本部長を部下である教室長が考課したことが一度だけあった」という話が出た。こんな話は初めて聞いた。おそらく当労組の結成前の出来事かもしれないが、もし知っているeisu社員の方がいたら当労組まで情報を下さい。

全国の学習塾で働く塾人の皆さん。職場内でパワハラやセクハラなどのハラスメント行為に苦しんでいる人がいれば、ぜひ私たちか、お近くのユニオン(一般労働組合)まで相談してください。力になりますよ!

 

 

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eisuのパワハラ問題(後編)” に対して1件のコメントがあります。

  1. 阿倍信三 より:

    3つの要求はなまっちょろいです。即刻、A氏の懲戒処分として、形を残さないと。
    労使協議や団交が形骸化されます。

    会社の歴史を振り返ってみて、ちょっとしたこと、たとえば、講師から評判が悪い、講習会の動員が悪い、・・・などで、退職勧奨、退職強要になった方はおられませんか?

    このような輩は厳罰ものでしょう・闘いのセオリーは「仁義なき」です。組合から、やめさせろは禁句でしょうが、過去の案件と照らし合わせて、あの件はこんなレベルで退職強要されたが、なぜ、それを越えた、、しかも人権侵害をなぜ許容するのか、追及すべきです。

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