eisu高校部の職場問題(前編)

eisu高校部社員、それから全国の学習塾で働く塾人の皆さんへ。
当労働組合は3月3日にえいすう高校統括部と団体交渉を行いました。思えば当労組と高校統括部とは2014年、2018年にも統括部と高校部社員との間で発生した労使トラブルを原因として団体交渉をしています。
これらの労使トラブルのきっかけはすべて高校統括部が、高校部で働く現場社員にまったく配慮しない一方的な通達、命令を出したことや、現場社員の労働者としての権利を踏みにじる行為をしたことが発端です。
高校部では以前から職場内の問題として、統括部による現場社員の意見や事情をいっさい考慮しない上意下達の独裁的な組織体質があります。問題が起こり当労組が改善させるといったんは落ち着くが、数年後にはまた別の案件で問題が発生します。
それにしても現場社員への不当な命令や一方的な指示を発端とする労使紛争を繰り返すのは、過去の出来事を反省してそこから学ぼうとする姿勢がないからでしょうか。
2014年の団体交渉
きっかけは2014年5月末頃より、高校部社員から当労組に、えいすうユニオン社内サイト(当時はこの公式サイトができる前です)を通して相談や情報提供があったことです。
内容は高校部の全体会議で高校部社員全員の前年度までの有給休暇取得日数一覧表(しかも個人名入り!)が配布され、高校部トップが『実績(売上)を出していない人には有給休暇を認めない。有休が欲しければ実績を出せ!』と高校部社員が叱責されたということです。
当労組が問題にしたのは個人名が入った有休取得日数の一覧表が高校部の全体会議で社員全員に配布され『有休を取るな!』と圧力をかけたことです。
個人情報保護の点から考えてもこれは明らかに異常な行為です。またこれを行なった高校部トップの行為は「有休取得妨害」にあたり、明らかに労働基準法違反となります。
同じ頃小中部でも「有給休暇をなるべく取得しないように」という趣旨の通達が出されました。このとき社内サイトを通して多くの社員から情報提供や相談がありました。
事態を重く見た当労組はすぐに社に団体交渉を申入れしました。団体交渉では出席したオーナー経営者に対し、社員の自由な有休取得を妨害しない旨を確認させ、会社に今後社員の自由な有休取得を妨害しないことを約束させました。
さらにこの時の高校部社員の有休取得条件が労働基準法に違反していたので改善させました。ちなみにこの労使紛争のきっかけを作った高校部トップは団体交渉を欠席しました。
2018年の団体交渉
きっかけは2018年9月4日、台風21号が昼過ぎに東海地方を直撃しすべての公共交通機関が止まっているにもかかわらず、高校統括部が高校部社員に対し台風が最接近して最も危険性の高いとされる午後2時に定時出勤を命じたことです。
しかも当日、定時に出勤してない教室長等の役職者に対して、電車等が止まっているので定時出勤は不可能にもかかわらず『職員は平常勤務です。生徒のように暴風警報だからお休みにはなりません!本日、出勤できなかった方は必ず、出勤日を調整し、本日分は必ず出勤をしてください!』という内容の叱責メールが統括部のマネージャーより配信されました。
この日は高校部以外の部署は午前中に生徒への休校連絡や業務等を済ませ、交通機関が止まる昼頃までには帰宅して自宅待機するように指示されていました。この件も社内サイトを通して多数の高校部社員からの相談や情報提供で発覚しました。
この件について当労組が問題にしたのは、台風21号の接近にともない4日当日の午後から公共交通機関が止まることが事前にわかっていたはずなのに、前日夜に定時出勤が高校部社員に通達され、しかも定時出勤してこない役職者に叱責メールを配信し、台風直撃下での定時出勤を強要する異常性でした。
当労組はすぐに高校統括部に回答要求と団体交渉申入れを行い、団体交渉で高校統括部に対し、災害発生時の社員の出勤規定を早急に策定するように要求し実現させました。
当時小中部では災害時の出勤規定がすでに存在していましたが、高校部ではこれがまったくなかったことには驚きました。台風直撃当日の出勤も叱責メールの配信も統括部が現場社員の事情や安全への配慮なく一方的に決定したことでした。
ちなみに2014年と2018年の労使紛争の詳細は、えいすうユニオン社内サイトのブログ(閲覧にはパスワードが必要。えいすう社員で知らない人は社員の誰かに教えてもらって下さい)にアップされているので詳しく知りたい方はそちらをご覧下さい。
今回の団体交渉の経緯
今回の経緯については、一部分ですが2月7日のブログ『えいすうユニオンの質問に対する高校部の回答』に書きました。これもきっかけは1月31日のブログ『えいすうユニオンの質問に対する社の回答』を読んだ高校部に勤務する社員からの相談です。
社は当労組に対し、高校部ではすでにZOOMによるリモート会議が行なわれていると回答していましたが、相談によると『高校部ではZOOMを使用できる環境にあるが社内会議では一度も使ったことがない。いつも社員を集めて会議している。他県から来る社員や三重県全域の校舎から社員が集まることは今の時期は避けるべきなのにまったく考慮されない』とのことです。
他にも『2月5日に三重・愛知・静岡の役職者全員を集めて四日市で会議をすることになった。何とかやめさせてほしい』という相談がこのサイトを通して高校部社員から届きました。
(注)1月後半頃から全国のコロナ新規感染者が毎日数千人規模で増えており、校舎のある三重県で連日約30名、愛知県で約150名、静岡県で約30名程度の新規感染者が見られました。
当労組は2月1日、高校統括部に回答要求を行なうとともに、2月5日の会議をZOOMを使ってリモートで行うよう強く要求した結果、2月5日の会議は取りやめとなった(リモートで行えばよいのになぜか中止になりました)。
しかし高校部社員に会議中止を伝えるメール文中で『会議を実施するにあたり、ZOOM等の非対面形式で行う手法もあるかと思いますが、画面を通してでは情報や指示系統の共有はできたとしても、一番重要な感情の共有ができません』と書かれていました。
高校部社員のコロナ感染リスクを度外視して、不安にかられる社員への配慮もせず、高校統括部があくまで『対面での集団会議』にこだわる理由は何なのか? 統括部が重視する「感情の共有」とはどういうことなのか?
統括部の回答への疑問
これに対する高校統括部の回答は2月7日のブログに書きました。要約すると次のようになります(下線部に注意)
・高校部では対面での集団会議に固執しているわけではなく、今までもZOOMを活用した運営部会(統括部の会議)を実施している。
・その時の議題や共有したい内容によって集団なのかリモートなのかを使い分け、コロナの状況を踏まえた上で最善の形態を採っている。
・状況に応じて、どういう形態で会議すべきかを常に試行錯誤している。
・リモート会議では参加者のモチベーションを上げたり、言語化しにくい情報を互いに読み取り合ったり、踏み込んだ議論やメッセージのやり取りがしにくかったりなどの問題点があり、対面での会議は無くすことができない
・つまり統括部の言う感情の共有とは、会議で実際に顔を突き合わせてお互いに話し合ったり、意見交換したり、議論したり、叱咤激励したりすることである。
高校統括部からの回答を読んで当労組が疑問に思ったのは次の点です。
①統括部のメンバーだけが参加する運営部会はZOOMで実施しているのに、コロナ禍の中、なぜ高校部の全体会議はZOOMを使用して行わないのか。
②会議をリモートでするか対面による集団会議にするかを使い分ける基準は何なのか。
③回答によると全体会議は対面形式の集団会議で行う方針のようだが、全体会議では参加者のモチベーションを上げたり、言語化しにくい情報を互いに読み取り合ったり、踏み込んだ議論やメッセージのやり取りが社員間で行われているのか。
④コロナ禍の中で、状況に応じて会議の形態を常に試行錯誤していると回答しているが、今までに高校部の全体会議をリモートで何度か実施し検証しているのか。
これらの点について当労組は高校統括部に再度回答要求し、その回答に基づいて3月3日に統括部と団体交渉を行いました。
高校部職場の構造的な問題
今回の件で、当労組は高校統括部と何度か文書のやり取り(統括部への回答要求 ⇒ 回答)をしており、また実際に高校部で働く社員の方からの意見も集めました。その結果当労組が確認した高校部職場の問題点と、明らかになった事実がいくつかあります。
①現場社員(校舎責任者・校舎スタッフ)の意見等を統括部に伝えるシステムが存在しない。同時に統括部が現場社員の意見等を拾い上げるシステムも存在しない。したがって統括部の独断に基づく決定が強行されやすい。
②統括部による運営部会議は数名の幹部社員のみで行われており、運営部会議の決定について現場社員はまったく関与できない。したがってごく少数の幹部社員で決定した内容が一方的に現場社員に業務命令・通達として発令され、それに対し現場社員は異議や意見を言うことができないので従わざるを得なくなる。
③統括部の運営部会議で何がどのように話し合われ、どのように決定されているのか現場社員にはほとんど説明されていない。
④高校部社員全員が参加する全体会議の実態は、統括部の通達や方針が一方的に発表される場であり統括部が回答文で説明するように、社員どうしの意見交換や踏み込んだ議論等は行われていない。このような会議では、統括部の主張する「感情の共有」が本当にできているのか疑問である。この点において統括部は当労組への回答文で「ウソ」の説明をしている。
⑤現場社員が統括部をコントロールする機能が高校部内において存在しない。したがって統括部は現場社員に対して一方的かつ独裁的になりやすい。
⑥現場社員と統括部メンバーとの相互コミニュケーションが機能不全である。したがって現状では統括部と現場社員との相互信頼関係も低い。
⑦現場社員の多くは統括部に不満や不信感を持っており、現状では統括部に本音を言う(言える)社員は少ないと思われる。
高校統括部が現場社員を無視した一方的な通達や命令を出したり、対面での集団会議にこだわるのはこうした職場内の構造的な問題が背景にあるからだと思います。
今の高校部の職場問題を端的に表せば「
しかし逆に考えると、これらの問題点を改善すれば今の高校部の体質を変えることができます。より働きやすい職場環境を創り上げることが可能となります。これについては後編で説明します。3月3日の団体交渉の結果とその後の経緯も後編で書きます。
(後編に続く)