新年のご挨拶

eisu社員の皆さん。それから全国の学習塾で働く塾人の皆さんへ。

新年あけましておめでとうございます。昨年は大阪教育合同労働組合に所属する、関西の大手学習塾ウィザスの労働組合と交流が始まり、すでにeisuユニオンと共闘体制にあるワオコーポレーション分会に加え、ウィザスの労働組合とも協力体制を構築できました。

今年はこのアライアンスのさらなる強化と、他の学習塾への拡大を目指して取り組んでいきたいと思います。

本年も、私たちは学習塾で活動する労働組合として、eisuで働く社員のみならず、全国の学習塾で働くすべての塾人の労働環境改善と権利拡大のために邁進していきます。

全国の学習塾に労働組合の輪を広げていきたいと思います。このサイトやTwitterを定期的に閲覧している皆様、今年もご支援よろしくお願いします。

年の初めに思ったこと

最近、ある出来事がきっかけとなり、学習塾業界が今後何十年も継続していくとして、学習塾に入社してくる人の「質」の維持や確保をどうすればよいのかということを、たびたび考えるようになりました。

これは一見すると塾人の労働環境の改善や権利拡大とは無関係のようにも思われますが、十年~数十年の長い視点で見れば、大いに関係のあることだと思います。

ここ数年、公立学校の教員志望者の減少が進み、地方では倍率が1.4倍を下回るケースもあり、もはや教員の「質」の維持をどうするかという問題も起こっています。

教員の労働環境がブラックだということが多くの人に認知され、教員になろうとする人が減ったことが背景にあります。

私の若い頃は公立学校教員はかなり人気のある職業で、都市部では平均5倍~10倍程度(マイナーな教科だと50倍!)はありましたが、その頃からするとまさに隔世の感ですね。

これも今まで教員の長時間労働やサービス残業の問題を放置し続けてきたツケが回ってきたということです。

それでは、学習塾業界はどうでしょうか。これも御多聞にもれず、長時間労働、サービス残業に加え、賃金・手当・賞与等の一方的減額、社員のリストラやパワハラ問題などがどこかで起こっています。

民間企業である学習塾業界は労働組合がある会社がほとんどなく、経営者のやりたい放題が続いているところもあります。学習塾もブラック業界と認知されて久しいのは、学校教員と何ら変わりはありません。

新卒で学習塾に就職を希望する人も10年以上前と比べて減っています。これは実際学習塾で働いている人なら実感しているのではないでしょうか。毎年入社してくる新入社員数の推移をみれば明らかです。

他塾で働く人から聞いた話を総合しても10年前の半分~3分の1程度になっている会社が増えているように思います。

eisuでもここ数年の新卒社員の数は10年前の半分以下となっています。学習塾も学校教員と同じく、志望者が年々減少しているのは疑いのない事実だと思います。

そうすると学習塾で働く社員についても、学校教員と同様に「質」の維持をどうするかという課題が迫っているように思います。

こう言うと「映像授業を導入すれば解決できる」と言う意見が必ず出てきますが、映像授業は成績が「中の上」以上であり、毎日の学習習慣が身に付いていないと効果がありません。

ましてや地域の公立学校に根差した指導などできるはずもありません。結局、学習塾にとって必要なのは、質の高い「マンパワー」だと思います。

優秀な人材を確保するためには働きやすい職場環境を整備し、長く働いてもらわないとその学習塾はすぐに衰退していきます。

学習塾業界が今後も継続して成長・発展していくためにも、質の高い人材は絶対に必要でしょう。それにはたくさんの人が「学習塾で働きたい」「学習塾に入社したい」と思い、学習塾業界への志望者が増えることが要件だと思います。

しかしながら、学習塾業界にある企業の多くは、自社が就活生に魅力ある職場であることを明確にアピールできているでしょうか? 

求人サイトや会社説明会などで、入社後の労働条件、労働時間、有休休暇、福利厚生、キャリアパス等について、応募してきた就活生に自社の悪い部分も含めて、誠実かつ丁寧に包み隠さず説明しているでしょうか? 

学習塾業界がブラック業界と名指しされて久しいですが、こうなったのは求人情報や会社説明会の内容と、入社後の実際の労働環境がまったく違う。ウソを説明されて入社して後悔している人が多いからではないでしょうか。

当労組はこのサイトを通して、学習塾業界を目指す就活生からの相談や質問も受けます。就活生からの相談は「求人サイトにはこう書いてあるがこれは本当ですか?」「会社説明会で担当者がこう説明していましたが、これは事実でしょうか?」といった求人サイトの記述や会社説明会で説明された内容が大半です。

これは就活生が求人サイトや説明会の内容に信頼を置いていないとも取れますが、就活生もできるだけブラック企業への入社を避けるため、多方面から情報収集し冷静に分析・判断していることになります。こうしたリスクへの回避行為は褒められるべきです。

ある就活生から直接聞いた話ですが、最近の就活生は志望する会社が決まると、転職サイトや口コミサイト、SNS等で入社希望の会社を徹底的にリサーチするそうです。

eisuのように社内に労組がある場合は直接アクセスしてきます。先述した「ある出来事」とは、eisuの求人サイトに関して就活生から質問が届いたことです。

昨年のある出来事

昨年の2月頃だったと思いますが、eisuの求人サイトを見た就活生からこのサイトを通して次のような質問がありました。

『求人サイトでは入社後の試用期間なしとなっていますが、これは事実ですか。 4月入社即採用と考えていいのですか?』

現在、eisuの就業規則では「試用期間は1年。試用期間中は契約社員であるが、待遇は正社員に準ずる」となっています。求人サイトでも当然そのように表記されるはずですが、リクナビ、マイナビともにどういうわけか「試用期間なし」と表記されていました。

当労組は記載内容を確認後、すぐに会社に訂正するように要求しました。現在では試用期間は1年。期間中は契約社員。待遇は正社員に準ずるという表記に修正されています。

訂正と同時に、試用期間1年というのは長過ぎる。一般的な3カ月~半年に訂正すべきである。また試用期間中は契約社員とするのは、就活生に不安を与えるので削除すべきとの要求を出しました。

しかし社から「就業規則を修正しなければならず。これはできない」との回答が届いたので、試用期間1年。契約社員の記載は現在も残っています。

今どき入社後の試用期間が1年もある会社なんてほとんどないです。普通は3カ月、長くて半年の会社が多いと思います。私がeisuに入社した時は3カ月でしたが、いつの間に1年に延びたのでしょうか? 

もし「試用期間なし」という求人サイトの記載を信じて入社した人がいたとして、入社後「試用期間は1年。試用期間中は契約社員」と説明された場合、下手をすれば求人詐欺として告発されても仕方がありません。

こうしたリスクを避けるためにも、社は求人サイトの記載内容についてしっかりチェックし、必要に応じて見直すべきだと思います。

また、昨年12月のことですが、eisuの求人サイトを見た就活生(前とは別の人)から次のような質問がありました。

eisuの求人サイトを見た者ですが、入社後の待遇の説明がリクナビとマイナビで異なるのですが、どちらが本当なのですか?』

当労組がすぐに調べたところ、固定残業代の記載がマイナビでは基本給に含むとされていたが、リクナビでは基本給とは別に支給されるという内容になっており、リクナビだと基本給が3万円ほど上乗せされるような表記になっていた。

さすがに「何だこりゃ~」と驚いた。これも当労組が社に確認すると、リクナビのほうが間違っており、早急に訂正すると回答しました。現在では修正されています。

これもリクナビだけを見て入社した社員がいた場合、入社後にトラブルになるケースも考えられます。

就活生にとって、求人サイトはいわば「玄関口」に当たります。そこで上記のような初歩的かつ重大なミスを、当労組から指摘されるまで気付かないのは、一体何を考えているのかとあきれてしまいます。

またeisuだけでなく、他の各社の求人サイトを閲覧している就活生からすると、たとえば「試用期間は1年。試用期間中は契約社員」という入社後の待遇や、求人サイトで賃金の説明に関する記述が異なっていたりすると、会社への不信感から「ここは応募するのをやめておこう」と考える人が現れても不思議ではありません。

これではeisuの求人サイトを見て応募してくる人を増やすことはできないし、質の高い優秀な人材を確保することは難しいです。一事が万事、eisuの採用部門の担当者も、もう少ししっかりしてほしいと思います。

学習塾は求人サイトや説明会を見直すべき

こういうことがあったので、最近では学習塾各社のリクナビ、マイナビなどの求人サイトをよく見るようになりました。どこの学習塾もあまり変わり映えしない内容になってますね。入社後の待遇(労働条件)についての記載内容が曖昧で、少し問題のあるケースも見られます。

総じて入社した後、その会社内でどのようにキャリアアップできるのか。入社後のキャリアデザインはどのようになっているのか。新人研修以外の社内研修の具体的内容など、就活生に「ここで働きたい」と魅力ある職場をアピールしているものは少ないように思います。

私が民間教育業界で本格的に仕事を始めた頃(90年代初頭)は、第2次ベビーブーム世代がちょうど高校・大学受験期となり、生徒数が右肩上がりに増え学習塾各社の利益も毎年増加していた時代でした。

校舎の新規展開も積極的に行われていました。当然賃金・賞与も今とは段違いにもらえました。たとえば私がeisuに入社した頃の賞与は年間で基本給の6.2~7.3カ月分ありました。

入社数年で教室長、その後複数校舎を管理するマネージャー職や大規模校舎の教室長、授業だけに専念するプロ講師職など、入社後のステップアップやキャリアデザインも今よりずっと明確にとらえることができました。

また転職活動も盛んで、経験とキャリアを積んで、より大手の学習塾に転職し収入アップをはかる人もたくさんいました。

当然、仕事はかなりキツかったけれど、それに見合うだけの収入はありました。当時、学習塾業界は「稼げる業種」として注目されていました。今から思えば「いい時代」でした。

しかし現在の学習塾業界は、少子化による生徒数減少や、学習塾どうしの過当競争によるパイの奪い合いなどが原因となり利益が低下しています。この傾向は今後も続いていくと思います

今何か手を打っておかなければ、学習塾業界への志望者がさらに減っていき、何十年か先には学習塾業界そのものが「斜陽産業」となり、残っているのは映像授業とバーチャル講師によるリモート授業のみということになるかもしれません。

これからの学習塾業界の継続的発展のためにも、やはり質の高い人材を集めることは非常に大切なことだと思います。ブラック業界という認知を払拭するためにも、就活生に信頼されるよう、自社の悪い部分も隠さずに記載し、それでも「そこで働きたい」と思わせるような内容にしていくべきでしょうね。

学習塾各社も自社の求人サイトや会社説明会の内容を抜本的に見直すべき時期に来ていると思います。

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