1月14日の全体会議の問題点(第2回)
eisu社員の皆さん。全国の学習塾で働く塾人の皆さんへ。
全国でオミクロン株への感染者が激増し、過去最多の人数を連日更新しています。先日全国の感染者数は8万人を超え、三重県でも最多記録を連日更新しています。コロナ第6派の勢いは止まるところがありません。
さて、1月14日の会議の問題としてもう一つあります。それは会議中の経営者の発言です。当日会議の大半を占めたのは経営者による次年度の売上アップに向けた向けた社員への叱咤激励です。
その中で有休取得が多い部署があると指摘した上で、有給休暇を取得する社員は会社に貢献していない、有休を取ってはいけないと受け取られても仕方ないような内容を発言したことです。
そもそも社員を奮起させる話の中で、売上が伸びない理由を、社員の有休取得と関連づけて批判する内容が含まれているのが問題であり、これでは会議当日の経営者の発言は「売上が伸びないのは有休を取る社員が多いからで、売上を伸ばすために有休を取らずに働け!」と言っているのに等しいと思います。
同時にまるでeisu社員が普段から業務に手を抜いてサボっていると決めつけるかのような内容に強い憤りを感じます。
会議終了後の社員からの相談 ②
会議終了後当労組には、経営者のこの発言に関するeisu社員からの相談や情報提供が相次ぎました。当労組は1月19日、社にこの発言の真意を問うため回答要求を行いました。
社からの回答文によると、会議中のこの発言は・・
『eisu社員のすべてが有給休暇を取りすぎているという言い方ではなく、三重小中部や本社に勤務する社員の取得日数が多いという内容で、在籍生徒数や売上がここ数年良くないという状況を各自がしっかり認識してほしい。在籍数や売上においては校舎間で凸凹がある。生徒数や売上を伸ばしている校舎もあるので、そういう校舎を手本にして、もっといろいろ自分達で考えて行動してほしいという文脈の中での発言』とのことです。
発言の中では、売上や生徒数ダウンの要因分析も行なわれず、生徒数や売上アップのための具体的な方針・方法等の説明もされていません。
売上を伸ばしている校舎を手本に考えて行動してほしいと言っているだけで、聞いていた社員も「そんなこと今さら言われなくてもとっくにわかっている!」と思った人が多かったようです。
また社は回答文で、『その文脈の中で、有給休暇の取得についても部署間で結構差がある。有休を取得することが悪いとは言わないが、三重小中部と本社の社員がよく取得しているという主旨の発言がなされた』と説明しています。
当労組も当日の記録はすでに把握しており、経営者は決して社員に「有休を取るな」とまでは言っていません。しかし経営者の話を聞いていた社員の多くは、有休を取ると良からぬことが起こるのではないか。有休は取れないのか。と不安に感じた人も多かったようです。
社員の多くが経営者の発言を危惧したのには理由があります。
eisuでは労働組合ができる前、社員の有休取得日数は最大5日まで、次年度への繰り越しもないという労働基準法に違反する状態が長く続いていました。
それを当労組が改善してきたという事実があります。 だから古参社員の中には以前の状態に戻ってしまうのではと危機感を持った人もたくさんいたと思います。
経営者のこの発言は、社員に奮起を促しハッパをかけるという文脈の中での発言であり、当労組も本気でそう思ってはいないと考えます。
当労組は2014年にも社員の有休取得問題につき経営者と団体交渉しており、その時団交の場で「eisu社員の自由意思による有給休暇取得を制約・妨害等はしない」ことを経営者本人に認めさせています。
したがってもし経営者が本気で社員の自由な有休取得を妨害し、有休を取得した社員に何らかのペナルティを示唆して取らせないと考えているのなら当労組も黙っていません。
しかしいくら本気ではないとしても、これは言われた社員からするとほとんどの人が怒りや反発を感じるのではないでしょうか。当労組は現場の社員と密に情報交換していますが、特にこの時期(受験シーズン)は皆休みなく働いています。
実際に、大事な受験シーズンに有休を取って休む人なんてほとんどいないでしょう。
特に三重小中部の社員は、普段授業を持っているので休む時には代講を立てる必要があり、代講者を自分で探す必要があります。なので繁忙期でなくても有休を使って半日休むことはできても、まる1日や連続して休むことはなかなか難しいです。
当労組に寄せられた社員の意見にも「自分達は毎日頑張っているのに、有休使ってサボっているような発言はショックだった。あの言い方はなんだ!」・「ろくに現場も知らないくせに!経営者は現場社員のことをもっとよく知り理解すべきだ」といったものもあります。
結局、経営者が社員を叱咤激励する際、その内容、言い方や伝え方が大きく間違っており、余計なことを言ったためにその場で聞いていた社員の心に火をつけるどころか、かえって怒りや反発を招いてしまったと思います。
経営者といえども「思いつくままに」しかも公的な場でもある全体会議の中で、社員に何を言ってもいいわけではありません。
子供ではないのだから話題、伝え方、言葉の選び方、表現のしかたなどに注意するのが常識だし、自分の言ったことには責任を持つのが経営者というものではないでしょうか。
このサイトを閲覧している全国の学習塾の塾人の皆さんはどのように思いますか?
経営者の多くは有給休暇制度をどう思っているのか? その傾向と問題点
ところで多くの経営者はその雇用する従業員が有給休暇を取得することをどのように考えているのでしょうか?
残念なことですが、昨今の「働き方改革」「雇用する従業員への5日間の有休取得の義務化」の流れが進む中でも、経営者の多くが「昭和の働き方」「モーレツ社員」「24時間働けますか」的な、令和の現在では反感を買うような考え方に染まりきっている人が多いです。早い話が頭の切り替えができていないのです。
つまり多くの経営者が持つ、社員の有給休暇制度に関する考え方として・・
「社員の有給休暇取得 = 会社に貢献しない悪しき行為」
「社員の有給休暇取得 = 仕事をサボって遊んでいる」
「社員の有給休暇取得 = 会社の売上が減る」
と考えている経営者がたくさんいることです。
ユニオンみえが扱う他の会社の事例でも 「会社に有休の制度がなく休むと減給や解雇になる」「経営者が有休を認めてくれない」等の労働基準法違反に問われるケースもいまだに多いことからもわかります。
同時に経営者の多くが個々の社員の有休取得日数だけしか注目していないことも問題です。
たとえば交通事故に逢ったり、大病を患って10日間有休を使って休んだ社員がいた場合、「なぜ休んだのか?」という背景にはまったく着目せず「10日間」の有休日数だけを見て「こいつは10日も有休取って休んだのか!」と判断する傾向が強いことです。
しかし今のコロナ禍の中、特に昨年においてはワクチン接種のために有休を取る人や、ワクチン接種後に副反応が出て有休を取って仕事を休んだ人も多いです。
また年齢を重ねてくると、事故に遭ったり自分や家族の病気、親の介護、冠婚葬祭等で仕事を休まねばならない場合もあります。
さらに町内会の行事、地域の清掃や山林などの共有地の伐採や草むしり、地域の神社の祭礼の仕事など、どうしても有休を使って休まねばならない場合も多々あります。
つまり経営者の多くが考えるように「有給休暇の取得 = 仕事をサボって遊んでいる」とは必ずしも言えないことを理解しない経営者が非常に多いことも問題です。この点に関して言えば、eisuの経営者も同様だと思います。
1月14日の会議で経営者は、次年度に向けて社員を「叱咤激励する」という文脈の中で「社員の有休取得日数について部署間で差がある」 と言及しています。でも有休の取得理由の多くがワクチン接種や副反応が理由だったとしたらどうでしょうか?
またコロナ禍の中で多くの学習塾が生徒数や売上の減少に苦悩していますが、これは昨今のコロナ禍における経済状況や少子化が主因であり、そもそも社員が有休を使って休むこととはまったく別問題で、関係のない話です。
この問題の本質は、eisu社員の有給休暇取得について、前述したような令和の時代にはほとんど通用しない旧態依然とした考え方から経営者自身が脱却できていないことです。同時に経営者の、社員の働き方への見方や考え方が如実に表れています。
こうした古い価値観や労働観は令和の現代ではまったく理解されません。経営者の発言を会議の場で聞いていた若手~中堅社員の中にはeisuを見限って離職する人も増えるのでは。優秀な人材が集まらなくなるのでは。と危惧する意見も当労組に入っています。
社員の年次有給休暇取得に関する社の回答
1月19日当労組は、eisu社員の有給休暇取得の考え方について回答要求しました。本社労務担当からの回答によると『今回の会議中の(経営者の)発言は、叱咤激励の表現とは言え、有給休暇取得を制限するような誤解を招きかねない面はあった』と認めた上で、『これまで通りに有給休暇を取得することによって何ら不利益な取り扱いを受けることはない』と説明しています。
以上のように、社は今まで通り(法律通り)の有給休暇制度を認めており、社員の有休取得に対する制約やペナルティ等の不利益取り扱いを否定しています。したがってこれからも有給休暇は各自の自由意思で計画的に取れます。
当労組は昨年1月、eisu社員がコロナに感染した場合や、濃厚接触者になった場合の休業に関する取扱いについて社と合意しています。『えいすう社員がコロナに感染した場合の休業補償について』(2021年1月31日のブログ参照)
しかし今回の件により、社がこの合意内容を守るのか少なからず懸念を抱いています。そこで当労組は2月に社と労使協議を行い再確認する予定です。結果は労使協議後にこのサイトで公開します。