年次有給休暇の取得義務違反問題(第1回)

eisu社員の皆さん。全国の学習塾で働く塾人の皆さんへ。

皆さんは、2019年4月より労働基準法が改定され、労働者を雇用するすべての企業の使用者(経営者)が、その雇用する労働者に年次有給休暇を1年に最低5日消化させないと罰せられることになったのをご存じでしょうか。

年次有給休暇5日取得義務とは

この制度が導入されたのは、先進国の中でも日本の労働者の年休取得率や取得日数が他国の半分以下と低く、最低水準に近いことが問題になり国際的に批判されたことが原因です。

日本ではいまだに「長時間働くこと」「年休を取得して仕事を休まないこと」が頑張っている社員の証だと考えている残念な経営者が多い国です。特に学習塾業界の経営者にはこの傾向が強いと思います。

この年休5日取得義務に関する労働基準法改定は、多くの経営者にとって「昭和の高度経済成長期のような働き方はもはや時代に合わない」と認識させることになったと思います。

同時に労働者にとっても「年休を取って仕事を休むのは悪いことではない」と意識を変える契機になったと思います。

年休の取得義務には罰則もあり、年10日以上年休を付与される従業員に対して、経営者の責任において年5日有休を取得・消化させないと労働基準法違反となり経営者が罰則を受けます。

「従業員が休みたくないと言った」「業務が多忙過ぎて休ませることはできない」といった理由は一切認められません。会社が業務命令を出してでも年5日は確実に年休を消化させないと経営者と会社が罰則を受けることになります。

年5日の年休取得義務についての詳細は『年5日の有給休暇の取得が義務化されました』(2019622日のブログ)をお読み下さい。

労働基準法の改定内容は厚生労働省のサイト等で年5日の年次有給休暇の確実な取得で検索して下さい。制度の趣旨や概要、使用者(経営者)の禁止事項や罰則などが詳しく説明されています。

eisuの年休取得義務をめぐる問題

1月14日の会議での経営者の有休取得妨害をにおわせる発言が発端となり、社員から当労組に多数の相談や情報提供がありました。

その中に『法律が変わり、年5日は労働者に年休を取得させる義務があることを経営者は知っているのですか?』という質問がありました。

2月9日の団交で会社に開示させた、1月末時点でのeisu社員の年休取得日数の部署別平均は「0日」「0.5日」という部署もあり、全社平均でも「3.38日」です。

これが放置され、3月末の年度末で1人でも年休の消化が5日未満の社員がいれば、即、労働基準法違反となります。

部署別平均では三重小中部やEMEGのように「5日」を達成している部署もありますが、注意すべきは部署別平均ではなく、社員1人につき最低でも「5日」年休を消化させることが法律上義務付けられていることです。

当労組も今になってこのような問題が浮上してくるとは思ってもいませんでした。なぜなら本社の労務担当から「年5日の年次有給休暇の確実な取得に向けて」という通達が何度も配信されていたからです。

また校舎勤務の現場社員から1日休むのは難しいとしても「半休」を上手に使って年休を消化している。社員の多い大規模校舎では比較的年休が取れるという話も聞いていました。

当労組もさすがに全社員が年休5日の取得義務は達成していると思ってましたが、前回の団体交渉で初めて社員の部署別取得日数を開示させた時、これはマズイのではと驚きました。認識が甘かったと反省しています。

こうなった原因の一つは、各部署を管轄する管理職(特に愛知静岡・首都圏)の年休取得義務に対する無理解と怠慢だと思います。

どんなに忙しい部署でも1年を通せば部下に計画的に年休を取らせるのは十分可能なはずです。どこの会社でも工夫して年休を消化させているのは事実で、管理者としての能力や資質が疑われても仕方ありません

eisuでの年休取得状況をこのまま放置しておくと、年休を10日以上付与されている社員全員が3月末までに年休5日取得義務を達成できるとは到底思えません。

現在の状況から推察すると、おそらく昨年(20年度)においてもeisuは年休5日取得義務違反となっていた可能性は十分考えられます。

したがって社が労働基準法違反で罰則を受ける可能性もあり、そこまでいかなくても監督署から是正勧告等の行政指導を受ける可能性は高いです。

会社が法律違反に問われないようにするためには3月末までの1か月間でeisu社員(正社員・契約社員・週30時間以上働くパート社員)のすべてが年休を5日以上になるまで取得し消化する必要があります。

すでに年休を5日以上取得している人は関係ありませんが、現在自分の年休の取得が5日未満(0日も含めて)の人は3月中に年休を5日になるまで消化しないと会社がヤバイことになります。

今まで経営者が何の対策も取らずにやってきたツケが回ってきたとも言えますが、このままだとeisuが会社として法律違反に問われることになります。同時に22年度以降は会社にしっかり対応させる必要があります。

経営者は法律の改定を知っているのか?

現在、年10日以上の年次有給休暇を付与される労働者に対し、付与される年休日数のうち5日分について確実に取得させることが経営者に義務付けられています

対象となるのは正社員だけではなく契約社員や週30時間以上のパート社員も入ります。

1月14日の会議で経営者が「有給休暇を多く取得している部署がある。有休を取るなとは言わないが、有休を1日も取らずに頑張っている社員もいる。有休を取らずに頑張っている社員を評価したい」という趣旨の発言をしました。

この発言は社員の自由意思による有休取得への妨害とも受け取れ、今回当労組が社に団体交渉を申入れる原因になりました。

2月9日の団体交渉に経営者は出席していませんが、社は当労組への説明で、今まで通り社員の自由意思にもとづく有休の申請・取得および有休取得に関して労働基準法等を遵守することも認めています。

2月9日の団交の場で「現在、年5日は労働者に年休を取得させる義務があることを雇用主である経営者は知っているのか?」と本社幹部に問うたところ・・おそらく知らないだろうと回答しました。

当労組も経営者自身は、法律が改定され、社員に年休を5日間消化させることが経営者の義務になったこと。履行しなければ罰則があることを知らないと思います。

なぜなら経営者がこれを知っていれば、社員を前にして「有休を多く取っている部署があるのが気に入らない」とは言えないからです。むしろ年度末までに「全社員が有休を最低5日は消化するように」と言うはずです。

年度末近くで有休取得日数の平均が「0日」「0.5日」の部署があれば褒めるどころか逆に叱責するはずです。もし3月末までに年休5日消化未達の社員が1人でもいれば会社が法律違反に問われて自分がダメージ食らいますからね。

もし経営者が法律の改定を知っていたならかなり悪質で「国の法律が変わろうが制度が変更されようがeisuは独自のやり方を貫く。会社が法律違反に問われて罰則を受けても方針は絶対に変えない!」と宣言しているようなもので、まさしくブラック企業です。

さて、労働基準法が改訂され、2019年4月から始まった年休5日取得義務は、中小企業では1年の猶予が設けられましたが、2020年4月からはすべての企業が対象になっています。

制度が導入された2019年4月以降、年休取得義務違反での罰則を回避するため、全国のあらゆる会社で年休5日取得義務への対応策が講じられています。

すでに導入から3年経過しており、今さら知らなかったでは済まされないです。この間、何も対応してこなかった経営者の責任は重大だと思います。

年休取得5日未満は法律違反になります!

もし経営者が、雇用する労働者に取得義務のある年5日分の年次有給休暇を消化させなかったとしたら、どうなるでしょうか?

最低5日を達成していれば問題ないのですが、5日未満だと未達成の労働者1人あたりにつき30万円以下の罰金が会社に科されます。もし未達成の労働者が100人いれば3000万円になります(労働基準法第120条)。つまり年5日消化していない労働者がたくさんいると、結果として会社へのダメージが大きくなります。

さすがに即罰金とはならないでしょうが、労働基準監督署から調査が入り是正勧告が出される可能性は非常に高いです。

監督署が悪質と見なせば罰金などの支払いや会社名の公表などもあるかもしれません。

最近、三重県でも監督署の職員がいきなり事業所に調査に来て、その時点での従業員の年休取得日数を聞かれる例が増えています。eisuの校舎にも監督署が調査に来たという事例を当労組も把握しています。

それでは年5日の年次有給休暇の確実な取得のために、学習塾ではどのような対応が行われているのでしょうか。当労組が把握している他塾の例として・・

①取得義務のある年5日分の有給休暇を計画的付与する。 

②年度初めにその年の5日分の取得計画を社員に提出させ計画的に休ませる。

③31日のある月はその日を全社員公休日とする。

大手学習塾に限っての内容ですが、大まかに言って上の3つのどれかを使う(併用する)学習塾が多いようです。

一方eisuでは年休5日取得義務に関して他の大手塾が行なっているような対策を何もしていないというのが事実です。

学習塾で働く塾人の皆さんへ。ご自身の職場ではどのような方法で年休5日を取得していますか? ぜひ当労組まで情報提供をお願いします。

当労組から社への要求

会社を法律違反から回避させるため、当労組は2月22日、以下の要求を社に提出しました。

3月末の年休5日取得義務達成および22年度以降の達成のため、次の内容の実施を要求します。なお要求の2は2月末時点ですでに5日以上年休を取得している社員は除きます。

1.3月末までに全社員(週30時間以上勤務の契約社員・パートを含む)が年休5日を確実に消化するよう、社より再度、各部署の上長等に対し社員の年休取得を強く促すこと。

2.2月末時点で年休取得が5日未満の社員を対象に、各部署の上長の責任において3月中に計画的付与を実施すること。具体的には各部署長から年休の付与計画を本社労務担当に提出させ、その付与計画に従って3月末までに各自年休を取得させること。

3.4月以降の早い時期に小中部(EMEG・nice含む)・高校部(愛知静岡含む)・首都圏の各部署長に対し、22年4月~23年3月の期間での年休5日分の付与計画を提出させ、その付与計画に従って23年3月末までにすべての部署で最低5日間の年休を取得させること。

eisu社員で、現在年休(有休)の消化が5日未満の皆さんへ。

近日、本社から指示があると思いますが、3月末までに必ず消化日数が5日以上になるように年休(有休)を取得して休んで下さい。

もしこれを達成できなかった場合には、会社が労働基準法違反に問われることになります。

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