戦時中のスローガンにはブラック企業の論理がいっぱい⁉

eisu社員、全国の学習塾で働く塾人の皆さんへ。

今回は活動報告の記事ではありません。当労組の活動報告やeisu社内で起こった労働問題の記事ばかりではどうしても内容が堅くなり、面白くないです。たまには組合活動とは離れて頭を休めることも大切ですね。

ところで私は歴史が好きなので、そういうジャンルの本をよく読みます。YouTubeなどの動画配信サイトを見る場合も、おのずと歴史関係が中心になりますね。関心がある時代は第1次~第2次世界大戦中ですが、最近は戦時中の庶民の生活が実際どうだったかに興味があり、それについての本を読んだり動画配信サイトを見たりしています。

お盆休みに、たまたまYouTubeで太平洋戦争下の日本で使われたスローガンを解説するチャンネルを見ました。すると戦時体制下で使われたスローガンが現代日本のブラック企業の職場で多用される論理や規範と共通する部分が多いことに気づきました。

そこで今回は太平洋戦争期の戦時体制下で考案され使用された言葉が、現代のブラック企業の論理としてどのように使われているのかを以下に解説していきます。滅私奉公を強要するために使われたスローガンを中心に選んであります。また、戦時下のスローガンを現代のブラック企業で使ったらどのようになるかという視点から、あえて現代のブラック企業風スローガンに言い換えてみました。

1.「非国民」⇒「非協力的社員」

「国民に非ず」というこの言葉は、戦時体制下にあって、国の命令に従わない国民に対して使われた言葉です。「お前はお上の言うことに文句も言わず従っている他の国民とは違う。お上に非協力的な国民であり日本人の風上にも置けない奴だ」というレッテルを貼り、国の方針に従わせようとする場合に使われる言葉ですね。

国の政策に疑問や異議を唱える国民を孤立させ、糾弾することで精神的に追い詰め滅私奉公を強要していく。まさにイジメですね。レッテルを貼って他の社員と区別して扱うことは、ブラック企業が社員を従わせるためによく使う手法です。

現代風に置き換えるなら言葉はいくらでもあります。たとえば『非協力的社員』『会社のお荷物』『不良債権社員』『不利益社員』『不要社員』『非生産的社員』などです。

これらは実際に過去eisuを含むいろいろな会社の団体交渉に参加した時に、経営者や役員などから労働組合員に対して直接放たれた言葉でもあります。かなりキツイことを言われる場合もあるので、言われた組合員はショックを受けて泣いてしまうこともあります(慣れたらどうということはないです・・)

しかしながら労働組合法では団体交渉の席では相手に罵声を浴びせることは適法なので、あまりにもひどい罵声を浴びせられた場合には、こちらも反撃に出ることもあります。

以前出席した別の会社の団交で、経営者があまりにも酷い罵詈雑言を組合員にしてきたことがありました。そこで論理的に相手を詰めていき「無能経営者」「あなたは経営者としての資格も能力もない」「あんた馬鹿ですか」と執拗に言い続けていたらとうとう経営者が泣き出してしまいました。

団交後に書記長のH氏から「団交の場で相手を泣かすまで追い詰めるな」と怒られましたww

2.「お国のために」⇒「会社のために1年365日働け!」

これは戦時下の国民にすべてを「国家のために」捧げることを強要する言葉です。「お国のために」を「会社のために」と置き換えれば現代のブラック企業の論理になりますね。

まさに滅私奉公を強要するための言葉だと言えます。

3.「黙って働き、笑って納税」⇒「低賃金でも笑って労働」

これは現代風に言えば、ブラック企業の会社(経営者)がどんなに理不尽な業務命令を出しても、労働者はにっこり笑ってどんなに理不尽で過酷な命令にも逆らわず、不満を言わずに黙って働けという論理ですね。

もちろん低賃金労働や長時間のサービス残業は当然の前提です。これも労働者に滅私奉公を強いる論理になります。

これと似た言葉に「働いて堪えて笑ってご奉公」というのもあります。

4.「欲しがりません勝つまでは」⇒「結果出すまで帰れません!」

この言葉は過酷な労働環境の下、売上や利益が出るまでひたすら長時間労働や長期連続勤務に耐えて働くことが美徳であると労働者を洗脳する論理として使えますね。

また売上や利益が上がらない責任を現場の労働者に一方的に押し付ける論理としても使えます。ちなみに「結果」を出しても賃金や労働条件が良くなることはほとんどありません。8年ほど前まで、eisu高校部で「実績出すまで帰れま10(テン)」という社員の公開処刑的なことが毎日実施されていましたが、当労組が廃止させました。

5.「国が第一、私は第二」⇒「会社が第一、社員は第二」

これも労働者に滅私奉公を強いる論理として使えますが、特にこれはブラック企業の経営者が、労働者をどのように見ているのかをズバリ表しています。

労働者の人権や健康、安全などは会社にとってはどうでもよい。会社は労働者の権利など認めず、労働者をどのように扱ってもよいという論理ですね。こうした論理がまかり通るブラック企業では、労働者が過労死しようが精神疾患になろうがお構いなしで、会社が責任を認めることはほぼありません。

これと似た言葉に「己(おのれ)のことは後回し」というのもあります。

6.「権利は捨てても義務は捨てるな」⇒「労働者に義務あれど権利なし」

これは戦時下の国民に求められるのは「国家」への忠誠心であり、すべての国民は国家の命令に忠実に従う義務があるということを強調する言葉ですね。

滅私奉公を強いる論理となりますが、こちらは労働者は会社に「奉仕」するだけの存在であるという論理がより強いです。まさにブラック企業の経営者や幹部の、労働者に対する考え方と言えます。

7.「笑顔で受け取る召集令状」⇒「笑顔で受け取る配転命令」

召集令状とは当時の日本人男性を軍隊へ入隊させ、兵士として戦地に赴くことを命令する文書のことで、俗に赤紙とも呼ばれます。戦地に行けば戦死するリスクも高く、戦死しても本人の名前の書かれた紙が一枚入った白木の箱が返還されるだけです。

ブラック企業では経営者が気に入らない社員を自主退職に追い込むため、あえて通勤に片道3時間以上かかる遠隔地に異動させたり、誰もが嫌がるような単純労働(シュレッダー係、ゴミ処理、清掃など)への配転を命ずるケースが多いです。

業務の必要性からではなく、嫌がらせをして労働者を退職させるための手段で、労使紛争中に社内の組合員に対して行なわれることが多いです。アリさんマークの引越社の事例が有名ですね。

この言葉は、どんなに遠く離れた職場でも、どんなに嫌な業務でも会社から配置転換命令(異動命令・辞令)が出たら、にっこり笑って喜んで従えという論理として使えます。労働者の生活状況などはいっさい考慮されず、配転先で戦死(過労死・病死・自殺)しても会社は一切責任を取りません。

本当に怖いのは「同調圧力」

さて、いかがでしたか? 戦時体制下の論理が現代日本にもブラック企業の論理としてそのまま残っていることに驚いた人もいるのではないでしょうか。

もし皆さんが勤務する職場で、日常的に上に挙げたような論理が使われているとしたら、かなり危険な会社・職場だと思います。今すぐ逃げるべきです。

厄介なことは、こうした異常なスローガンや論理を当時の大部分の日本国民が盲目的に信じ込んでいて、それに従わない人を周りの人が村八分にして糾弾するということが普通に行われていたことです。

当時の日本「社会」がこうした論理に染まっていたとしたら、周囲の同調圧力により、もはや一個人では抗うことはできないでしょう。この「社会」という部分を「職場」「会社」に置き換えるとはっきり理解できると思います。

こうした同調圧力を上手に利用して、異常な論理で労働者を自分たちの思い通りに働かせているのがブラック企業であり、その経営者や幹部です。そう考えると本当に怖いのは、異常なスローガンや論理そのものではなく同調圧力だと思います。こうした面において日本は80年前と何ら変わりがありませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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