ミュゼプラチナム従業員の皆さんへ ②

先日アップした『ミュゼプラチナム従業員の皆さんへ①』の記事には大きな反響があり、ミュゼで働く人からの相談や情報提供もありました。そこでミュゼ社員の相談事例に基づき、ミュゼの社員の方が今後取るべき対応について、当労組からいくつかアドバイスがあります。

現時点での各種報道やSNS・YouTubeなど外部に出ている情報や、ミュゼ社員からの情報に基づく内容になるので、当労組の認識不足や把握していない事実、誤っている部分もあるかもしれませんが、その点はご容赦下さい。

1.ミュゼ従業員への退職勧奨の理由

3月31日、唐突にミュゼの従業員に対し、会社から「解雇」が通告されました。でも、これはすぐに訂正され、「解雇」ではなく「会社都合による退職勧奨」だと言い直されました。

ミュゼ社員からの情報では、これを受けてミュゼを退職した人もいる一方、会社からの強引な「退職勧奨」を拒否している人もいるそうです。また退職しようにも会社から離職票が送られてこないので離職手続きがスムーズにできないケースも多いようです。

会社がなぜ、当初の「解雇」から、すぐに「退職勧奨」に訂正したのか理由はわかります。従業員に「解雇」通告する場合は、懲戒解雇でもない限り、通常は30日分の「解雇予告手当」を支払う必要があります。会社としては全従業員分の解雇予告手当(1か月分の賃金相当額)の支払いを避けかったのでしょう。

会社の「退職勧奨」に応じない人には、懲戒処分すると指示を出し圧力をかけているようです。そもそも退職勧奨の前提として、会社が前もって「従業員削減計画」を出し、それに従って早期退職制度や割増退職金制度を策定し、退職希望者を募集するなどして実施するのが普通です。

現状、ミュゼではこうしたことは行われておらず、強引なリストラで今いる社員を追い出そうとしているのが見え見えです。会社は未払い賃金も含め、社員に余計な金を出したくないのでは、とも思います。休業期間明けに、はたして店舗営業が再開できるのか疑問に思います。

2.ミュゼ従業員へのアドバイス

当労組が提起するミュゼ従業員の取るべき今後の対応は次の3つです。要約すると、今の生活を安定させることを第一に考え、未払い賃金の請求は後回しにする。全国に散らばるミュゼの従業員をまとめる中央組織を作る。ことです。

生活の安定を最優先する

現在、ミュゼは4月20日まで全店舗が休業していますが、先日、会社は「どこでもミュゼ」という新形態を確立するため、現在休業中の店舗について6月1日まで休業期間を延長するという発表がありました。

すでに退職した従業員もおり、店舗を再開しても働く人がいないなら通常営業できるのか? 今いる従業員はどうなるのか? 会社は未払い賃金を支払うのか? については発表もないです。

当労組が懸念するのが、1月~3月までの賃金と4月分の休業補償が支払われておらず、今後も賃金(未払い分も含めて)が支払われるのかもわからない状況で、日々の生活が困難な社員が増えていることです。

このような場合には、とりあえず生活を安定させることを最優先すべきです。つまりミュゼを退職し、失業手当を受給することで当面の生活費を確保しつつ、次の就職先を探した方が良いです。このままミュゼに残ってもリスクが大きく、「沈みゆく泥船」からは早く逃げた方が良いと思います。

ミュゼ本社からの離職票の発行が遅れている(発行されない)という話も聞きますが、『ミュゼプラチナム従業員の皆さんへ①』で書いたように、こうした場合には、ハローワークが職権で離職票を発行し、雇用保険の喪失手続きをしてくれます。なので失業手当はすぐに受給できます。

失業手当が受給できれば、当面の生活にかかる費用を補填することができ、無収入で生活することはなくなり、新しい職場への就職活動も開始できます。したがって、できるだけ早急にミュゼを離職し、当面の生活費を確保したうえで、今後の生活の安定を図るべきです。

未払い賃金の請求は転職後でも可能

ミュゼの従業員の方とやり取りして気づいたのですが、未払い賃金は会社を転職したら支払ってもらえないと思っている人もいるようです。でもこれは違います。

未払い賃金がある場合、ミュゼを退職して別の会社に就職していても、ミュゼでの未払い賃金は、ミュゼへの「労働債権」として残るので、転職後でも未払い賃金を請求できます。

労働者が未払い賃金を会社に請求できる請求権の時効は現在5年なので、ミュゼを退職して5年以内なら未払い賃金を請求可能です。

もしミュゼが倒産し、未払い賃金の立替え払い制度を使って賃金を取り返す場合も、ミュゼを退職して別の会社に勤務していても可能です。この場合の労働者の要件は、勤務先の会社が倒産し「破産手続き開始の申立て(または事実上の倒産の認定申請)6か月前の日から2年間に退職した者」となります。

ミュゼを退職していても、会社が倒産して破産手続き開始日の翌日から2年以内なら未払い賃金の立替え払いを請求できます。詳細は厚労省のサイト内にある『未払い賃金の立替え払い制度の概要』をお読み下さい。

現在、ミュゼが倒産したという情報はありません。でも『ミュゼプラチナム従業員の皆さんへ①』で書いたように、倒産していない場合でも労働基準監督署長が「事実上の倒産を認定」すれば立替え払いは受けられます。ただしミュゼ社員で監督署を動かす必要があります。

また賃金の未払いは労働基準法違反なので、労働基準監督署に申告すれば普通に動いてくれます。ただ現在の会社の状況から、会社が監督署の命令に従って未払い賃金を社員に支払ってくれるかは未知数です。

未払い賃金を取り返す方法をまとめると次の4つになります。転職後でも未払い賃金は請求できるので後回しにしても大丈夫だと思います。

① 未払い賃金の請求権の時効は5年なので、その期間中は請求できる。

② 未払い賃金の立替え払いの制度は、会社が倒産して2年以内なら受けられる。

③ 未払い賃金の立替え払いの制度は、会社が倒産してなくても、労働基準監督署長が「事実上の倒産」を認定すれば受けられる。

④ 労働基準監督署が会社に未払い賃金を支払うよう命令し、会社が従えば取り返せる。 

ミュゼの従業員をまとめる全国組織を作る

ミュゼには全国で3000名以上の従業員がいます。すでに退職した人もいるので、現在の従業員数はわかりませんが、3000名以上の従業員すべてに「未払い賃金」があるのは事実です。

問題なのは、従業員が全国各地に点在していることです。現状ミュゼの従業員もいろいろ奔走しているようですが、各個人がバラバラで行動しても大きな力にはなりません。ミュゼのように全国各地に従業員がいる場合には、各地の従業員が「情報を共有し」「一つにまとまって」行動することがカギとなります。

そこで今後、ミュゼに未払い賃金を支払わせ、会社に要求を突きつけるには、すでにミュゼを退職した人も含め、全国にいるミュゼの従業員をまとめる組織を作るべきだと考えます。全国のミュゼ社員が一つの組織にまとまって行動すれば、会社に対して大きな力を発揮できます。

もし将来、会社への集団訴訟を起こす場合や、マスコミ発表の際にも、こうした組織があったほうが有利です。動かない労働基準監督署を動かす場合も集団で行ったほうが効果が大きく、組織の公式サイトを作り情報を全国発信することも容易にできます。

たとえば、関東、中部、関西、四国、九州などの地域に分け、その地域のミュゼ社員をまとめる組織を各地区に作る。東京に総本部を置く(ミュゼの本社は東京にあるから)。

メンバーはミュゼで働く(働いていた)人とする。各地区の社員間で情報の交換・共有やコミニュケーションを行い、社員の意見や要求をまとめ、総本部で会社への対応方針を決定、実行する。

労働組合の立場で言うと、こうした「従業員の組織化」はユニオン(一般労組)の得意分野なので、ユニオンに加入して労組を作ったほうが合法的に会社に圧力をかけられますが、全国にいるミュゼ社員(退職した人も含めて)の意見を集約し、それを会社や外部に代弁する組織であれば、必ずしも労働組合である必要はないです。

ミュゼ社員(退職した人も含む)の中で、各地域で核となる人が中心となり動いてみてはどうでしょうか? 一度、検討してみて下さい。

 

愛知県・三重県のミュゼプラチナム従業員の方へ。

相談や情報提供は引き続き受け付けています!

 

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